「欲望という名の電車」 51年米 評価4(5点満点) メジャー度3
監督:エリア・カザン
出演:ヴィヴィアン・リー、マーロン・ブランド、キム・ハンター他
アメリカ、ニューオーリンズの場末の生活街。ステラとスタンリーの若い夫婦の元にステラの姉であるブランチがたずねてくる。過去の美貌と富を捨てきれず貴婦人然と振舞う中年のブランチにスタンリーは嫌悪感を抱き,次第に彼女の過去を暴きにかかる。
どろどろした人間の欲望を描くことを得意とするテネシー・ウィリアムズの有名な戯曲を元に「風と共に去りぬ」のヴィヴィアン・リーが体当たりの演技を見せる。日本では「風と共に去りぬ」や「哀愁」で美女スターというイメージが強いが,もともと演劇界で育った女優であり,演技力も確かである。達者な役者に,すばらしい脚本を元にした確かな演出力で素晴らしい芝居映画に仕上がっている。何かに感動するとか感化されるとかいう影響力はなくても,芝居としての完成度の高さにより十分魅力的な作品である。
アカデミー賞では主演女優(ヴィヴィアン)、助演男優(カール・マルデン)、助演女優(キム)を受賞。唯一受賞を逃したスタンリー役のマーロン・ブランドだが、その魅力はカリスマ的でさえある。