「トップ・ガン」 1986年米 評価4


監督:トニー・スコット
出演:トム・クルーズ、ケリー・マクギリス、ヴァル・キルマー他

1987年、2021年3月観賞

 アメリカ海軍のF-14戦闘機のパイロットであるピート・ミッチェルは、傍若無人な行動はとるものの、パイロットとしての腕は一流。その腕を見込まれ、ピートとレーダー要員の相棒グースは、エリート航空戦訓練学校(通称:トップガン)への訓練生に選ばれる。

 トム・クルーズをトップスターにした大ヒット作。小柄でなで肩という身体的ビハインドを抱えるクルーズだが、目力やチョットした仕草からも醸し出されるオーラはこのころから群を抜いており、スターになるべくして生まれた男という印象をすでに本作で与える。
そんなスター性抜群のトム・クルーズに加え、相手役のケリー・マクギリスも年上女性の知性と落ち着きを感じさせて好キャスティング。また、メグ・ライアンが出演していたことは有名な話だが、ティム・ロビンスもちょい役で出てる(最後の方でしか確認できない)のが新たな発見。

 単純明快なストーリーは男の友情を絡ませはするものの、正直、深みはない。しかし、何と言っても一番の醍醐味は、本物の戦闘機による戦闘シーン。重量感と動作の中での細かな間というのはCGでは決して表現できないもので、初見時は映画館でその迫力を体感したものだから評価は5だった。

 音楽的にも大ヒットした「デンジャー・ゾーン/ケニー・ロギンス」、「愛は吐息のように/ベルリン」が繰り返し使われ耳に残ると共に、劇中では「ドッグ・オブ・ザ・ベイ/オーティス・レディング」と「ふられた気持ち/ライチャス・ブラザース」という往年の名曲を効果的に使用し、一定レベルの年配者の心も鷲掴み。

 現在では人間ドラマ的な部分の深さが感じられないことは少々物足りないが、何処をとっても完璧無比の娯楽作で、是非4DXで観たい映画だ。

 ラストは、ピートの「教官になる」という言葉で終わった本作公開から35年。陳腐な続編が作られることによって、「トップ・ガン」の名の持つクオリティを下げたくないとの意図で続編製作権を買い取ったというトム・クルーズが製作も兼ねた続編は、コロナ禍において公開が延期されているが、同時代を生きたものとしてやはり観に行かざるを得ないだろうな。