「お熱いのがお好き」 1959年米 評価4.5
監督:ビリー・ワイルダー
出演:ジャック・レモン、トニー・カーティス、マリリン・モンロー他
1988年、2021年2月観賞
禁酒法時代のシカゴ。サックス奏者のジョーとベース奏者のジェリーは、マフィア内の闘争での殺人事件を目撃したため、マフィアに追われるはめになるが、おりしもフロリダでの女性だけの楽団員募集があり、女装して紛れ込んでなんとかその場をしのぐ。二人は、フロリダに向かう車内でその楽団の女性歌手のシュガーに恋してしまう。
冒頭のギャング映画的シーンはシビアで緊迫感があり、主役の二人が女装して女だけの楽団に入ってからは、必然性に基づいた良質のコメディ映画になる。そのメリハリのつけ方が秀逸なのと、出演者が芸達者な上に、コメディをコメディとして演じているというよりドラマがコメディになるという見せ方をしていて、脚本に無理と無駄がない。また、当時としては際どいネタも下品にならないようにまとめ上げているし、一つ一つの場面やセリフが生き生きとしていて、まさにコメディ映画のお手本と言える映画である。
また、モンローのなんと魅力的なことか!当時32歳というのも驚きなら、妊娠中でかなり情緒不安定だったらしいが、とってもチャーミング。当時のセックス・シンボルということに全く異論がないどころか、現代に出現しても衆目を集めるアイコンになっただろう。モンロー出演作は何本か見ているが、私はこの映画のモンローが一番好きだ。