「ライフ・イズ・ビューティフル」 1997年伊 評価2.5
監督:ロベルト・ベニーニ
出演:ロベルト・ベニーニ、ニコレッタ・ブラスキ、ジョルジオ・カンタリーニ他
2021年2月観賞
1939年、ナチス進行前のイタリアの片田舎のレストランに、給士として働いているユダヤ系イタリア人のグイドは、小学校教師のドーラに一目ぼれ。猛烈アタックの末に結婚し、一人息子を儲ける。やがて戦況は悪化し、ユダヤ系のグイドは息子とともに収容所に送られてしまう。
チャップリンの動作と演出を意識しているのか、ロベルト・ベニーニがお茶らけた風貌で、中年男らしからぬバカげたことを延々と続ける前半がとにかくだるくてだるくて。何がチャップリンと違うのかな?必然性のない悪ふざけばかりだからか、合間合間に心根は優しいという場面を入れないからなのか、やっていること(例えば帽子を盗んだり、卵を帽子に入れたり)が単純に人を不快にすることばかりで、はっきり言って、結果的にヒロインと結婚できたとしても、それまでにどんだけほかの人に迷惑をかけてるのか?と思うに全く祝福の気持ちになれない。また、“お姫様”役のニコレッタ・ブラスキがいい年齢(撮影当時37歳くらい)なのにそんな変人に惹かれるのも全く解せない(鑑賞後知ったが、この人、ベニーニの奥さんなのね。。。)。
前半の笑いのネタに工夫がないし、登場人物に全く惹かれもしないので観るのを止めようかと逡巡したが、世間の評価が高いのだから、このまま終わるはずはないと我慢を重ねて、やっと半分を過ぎたあたりから面白くなった。本題に入った後、収容所で、子供にこれはゲームだと信じ込ませてすごすあたりはなかなかのアイデアだと思うし、それは前半に描かれたような性格の人間だからこそやり遂げられたものだと思うので、その意味では前半の伏線(それでも長すぎるが)は生かされている。
ただし、ストーリーが、小さな息子が1か月程度?ドイツ兵に見つからずに父親と同じ収容所ですごしているとか、あり得ない状況を土台に成り立っているのと、他の収容者はそっちのけで二人だけが良ければよいという世界で話が進行するので、童話的にしか考えられない。ホロコーストがそんな甘いわけはなく、これは子供の曖昧な記憶に基づく御伽噺なのか?としか思えず、感傷が心の奥に届かない。