「小さな恋のメロディ」 1971年英 評価3


監督:ワリス・フセイン
出演:マーク・レスター、トレーシー・ハイド、ジャック・ワイルド他

2021年1月観賞

 舞台は1970年頃のロンドンの小中一貫校か。中流階級で育った小学生のダニーは控えめな性格ながら、同じクラスの悪ガキのトムなどと楽しい学校生活を送っていた。ある日ダニーは、学校の授業でダンスのレッスンを受けている同年代のメロディを見て夢中になる。最初はやきもちを焼いて二人の邪魔をしていたトムもやがて二人の交際を認め、クラス全員で結婚式をあげることにする。

 完全に観るべき時期を逸しているな、というのが最初の印象。小学高学年の男女が「結婚したい。だってずっと一緒にいたいんだもん」と言ったら、学生時代からずっと現実的な考えをしていた私からしたら、高校時代以降なら、間違いなく平穏にやめることを諭すだろうし、この映画の内容に純粋に感動できる時期って中学生の時ぐらいしかなったろうと思う。なので、今観てもときめくこともないのは当然としても、若かりし時に観てもあまり嵌まらなかったろうなぁと思う。永遠なのはビージーズの「メロディ・フェア」と「若葉の頃」の美しさ。

 本作は、英米ではヒットせず、日本で大ヒットしたらしいが、その主要因はメロディ役トレーシー・ハイドだろう。彼女は、このローティーンの時期が多分一番可愛かっただろうし、特に日本人受けする顔の作り。主役のダニエルは育ちが良いが、何となくワルいこともやってみたいという雰囲気が滲み出て良。最も印象的なのは悪友トムで、マルコム・マクダウェルに似た風貌と行動のインパクト大(あとで出演時は17歳と知ってびっくり&納得)。この三者が絡むやり取りは良いのだが、ダニエルとトムのシーンの方が長くて、ダニエル&メロディの恋愛に移っていくところの描写以降、物語の深さがいまいち浅いので、その後の展開が何となく腹落ちしない。

 イギリスの1970年あたりの小中一貫校の雰囲気がどういうものだか全く想像できないが、映画の通りだとすると相当荒れていたのだなと思う。描かれている学年は異なるが、「IF もしも」と同じ雰囲気を感じる。そんなイギリスの雰囲気など知る由もないので、ノスタルジックな気持ちにもなれず、ごく普通の映画という評価。