「ダーティ・ハリー」 1971年米 評価4


監督:ドン・シーゲル
出演:クリント・イーストウッド、アンディ・ロビンソン、レニ・サントーニ他

1985年、2021年1月観賞

 一般市民を狙撃し、狙撃を止めるのと引き換えに市長に金を要求するスコルピオと名乗る精神異常犯罪者を相手に、時には法によらない捜査で追い詰める、サンフランシスコの刑事ダーティ・ハリーことハリー・キャラハンを主人公にしたアクション映画。

 現在の基準で見るとアクションシーンのスピード感はないが、悪役スコルピオの憎々しさが抜群で、一方で静の佇まいから動の行動力を見せるハリーと対比された構図が、緊迫感を持続させる。ハリーは基本、警察の中の組織としての活動には忠実で、法を破ることもあるがそれは犯罪者が許せない時だけという、一般人的な感覚で受け入れられる行動原理が本作のヒットの要因の一つではないかと思う。

 クリントが目つきの鋭い鋭利な顔つきの長身で、いちいちセリフもかっこよくて、本作が5作までシリーズ化され、クリント自身をスターダムに押し上げたのも納得。また、現在のクリントを知っているからかもしれないが、ただ肉体に任せたアクションスターではない雰囲気がすでに本作からも匂ってきている。