「シャイン」 96年豪  評価4.5(5点満点) メジャー度2

監督:スコット・ヒックス
出演:ジェフリー・ラッシュ、ノア・テイラー他

 第2次世界大戦中ユダヤ収容所にいたゆえ過剰とも思える家族愛を子供たちに強いてきた父からピアノのレッスンを受け、幼い頃から神童振りを発揮し、イギリスの王立音楽院の奨学生にまで上り詰めたが、重圧と父の影から逃れられず精神を病んでしまう。その後(40くらいか)周りの親切な人々に支えられ、もう一度ステージにたつという天才的ピアニストの嘘のような実話。「人生は悪いことばかりじゃない」という人生観は「フォレスト・ガンプ」に通じるものだが、こちらは実話なだけに更に感動が大きい。

 特に前半の,父から重圧を受ける様子が丁寧に描かれ(父親役の俳優の演技がすばらしい)、なぜ精神を病むようになっていったのかが理解しやすく,主役への感情移入がしやすい。主役のジェフリー・ラッシュの役作りぶりも見事で、ピアノを演奏するシーンがあたかもスペクタルのような感覚さえある。

 一流の俳優の名演に支えられ、精神を病んでも幸せに生きることが出来る、その人の心がけ次第だということが、実話であるという後ろ盾があることで、実現可能な夢として感じることが出来る久しぶりに涙が出る秀作である。