「告発のとき」 2007年米 評価3.5


監督:ポール・ハギス
出演:トミー・リー・ジョーンズ、シャーリーズ・セロン、ジェイソン・パトリック他

2020年12月観賞

 イラク戦争から帰還した息子からの連絡がないことを心配した元軍警察のハンクは、軍に消息を訪ねると、無断離隊したとの返答が来る。自分の知っている息子の性格から、その報告を不審に思ったハンクは軍基地に向かう。しかし軍や警察は等閑な対応しかとってくれず、ハンクは協力的な女性刑事と二人で真相解明を進める。

 息子が行方不明になりその後死体で発見されたのはなぜなのかと、息子がそんな事件に巻き込まれた背景にあるものの炙り出しの2点が本作の骨格であるが、前者の、息子が殺された事件の真相究明のストーリーに魅力がない。肉親(本作では父親)と少数の協力者が真相究明するという構図は変哲がないのに加え、その二人の調査はあまり進展しないのでサスペンスが盛り上がらないし、結局は元同僚の覆った証言によって真相が究明されるのだが、その証言を引き出したのが禁酒されている軍人にウイスキーを差し出すことだったというのがなんとも腑に落ちない。一方で、後者のストーリーに関しては、戦争現場がいかに人の精神を蝕むのかという点と、父親の息子の気持ちに寄り添えなかった言葉が遠因になっている悲惨さがじわじわと心に染みてきてとても感傷的。

 長身痩躯、でもきっちりとしまった筋肉がついて走る姿も美しく、ほぼすっぴんでも隠しようのない美貌のシャーリーズ・セロンがとっても魅力的で、そんな彼女を見られるだけで評価を上げちゃう。