「真昼の決闘」 1952年米 評価3.5


監督:フレッド・ジンネマン
出演:ゲイリー・クーパー、グレース・ケリー、ケティ・フラド他

1984年、2020年11月観賞

 退職した保安官ウィルは新妻のエイミーとの結婚式後、町を出る予定だったが、5年前に捉え絞首刑送りにしたミラーが保釈され、約1時間後に到着する汽車で町に戻るという情報を得る。ミラーが3人の仲間とともにウィルを殺しに来ることは明白であり、ウィルは交代の保安官が着任していない町を気遣うとともに自身の信条から町で彼らを迎え撃つことを決意する。

 西部劇をベースにはしているが、誰も手を貸さず孤立する元保安官ウィルを通じて描かれるのは、事なかれ主義、無根拠の何とかなるだろうとの気持ちから楽観視する住民という人間の浅ましさであり、現代にも通じる普遍性のあるシリアスなドラマであるのだが、保安官補佐とのけんかの後、差し迫る時間の中で理髪店でキレイにしてもらったり、銃撃戦はあっという間にほんわか終わってしまったりと緊張感がなく、ちょっとだれた内容に感じてしまう。

 本作が大作デビューとなる当時23歳のグレース・ケリーは美人で可愛いという魅力を発散させてはいるが、初老のゲイリー・クーパー(といっても当時51歳。その割に老けている)と年齢的に不釣り合いの美しい若妻という、当時のハリウッド映画に見られがちな不均等夫婦に違和感があり、また、とてもエレガントな女性が片田舎でなぜ初老の花嫁になるのかも現実味が甚だなく、全体的に古さを感じてしまう。1984年に観た時の評価は4.5だったが、もう一度観たいとは思わないため3.5が妥当と思う。