「ヒトラーの忘れもの」 2015年デンマーク・独 評価3.5


監督:マーチン・ピータ・サンフリト
出演:ローランド・ムーラー、ミケル・ボー・フォルスゴー他

2020年10月観賞

 1945年5月のドイツ降伏後、捕虜となっていた若いドイツ兵は、かつてドイツ軍がデンマークの西海岸に埋めた200万個以上の地雷を撤去する作業に従事させられた。彼らはデンマークの軍曹の指揮下、担当個所の地雷をすべて撤去すれば国に帰れるという希望をもって危険な作業に身を投じる。

 ドイツ軍が埋めたものをドイツ兵が撤去するという行為自体は理に適っていると思う。しかし1945年だからといって、若いドイツ兵が体を張って撤去しなければならなかった現実はつらすぎる。ミドルからハイティーンのドイツ兵約10名の苦しみを、彼ら自身と、彼らを見張るデンマークの軍曹と近くに住む農婦と幼い娘の間のわずかな接点から描いている。

 欠点のない良い映画だとは思う。しかし「いい映画」という以上に心が打たれることがないのは、ドイツ兵それぞれの心情がほぼ均等に描かれているために焦点がぼやけてしまっていることと、デンマーク人との交流の描き方が表面的に終わっているからだと思う。題材もストーリーもいいのだが、少しもったいない映画。また、私はあまり気にするほうではないのだが、この邦題は酷すぎる。映画の内容と全くマッチしない。