「テネット」 2020年米 評価3.5
監督:クリストファー・ノーラン
出演:ジョン・デヴィッド・ワシントン、ロバート・パティンソン、エリザベス・デビッキ他
2020年10月観賞
「名もなき男」は、あるテロ事件における戦いぶりを評価され、未来で起こる第三次世界大戦を避けるための極秘任務の一員に選抜される。未来では地球全体の時間を逆行する装置が発明され、それによって人類は滅亡の危機に瀕していた。
難解だとという噂が蔓延っていたため、結構事前予習してから観賞。ストーリーはほぼ理解できた(と思う)が結構単純で、逆行する時間を順行時間と同時に大画面全体で表現するという、今まで見たことがない映像には圧倒されるが、普通にタイムマシンで過去に戻った人物たちのアクションもののにしたと仮定すれば、特筆するほどではないストーリーであることがわかる。
圧倒される映像を別にして、あくまでドラマとして評価すると、前半で張り巡らせた伏線は意外とわかりやすく後で回収、判明してくるので、その当たりのすっきり感は感じられる。全体を通しては、なぜ「名もなき男」が最初から傍若無人な振る舞いをして小柄だが無双の強さを持っているのかは、逆説的になるが最後に実は彼がすべての作戦を遂行した「主人公」であることが判明することで、なるほど、彼自身ずば抜けた能力を持っていたということか、という「主人公」の成長物語というところが、私的には一番惹かれるものがあった。
どうしても疑問を払しょくできないのが、ラストのニールの動き。逆行隊のニールは爆発時間の10分後から現地に潜入。ニールは爆発地点にあるタイムマシンで順行に移動。それで車に乗って「名もなき男」の地下への侵入を止めようとし、最後は穴から「アルゴリズム」をもった「名もなき男」を引き上げる。では地下の爆発物のところにいたニールは何なんだ?違う未来から逆行してきたってことか?
よく理解できなかった点もあって、再度鑑賞すれば理解も深まるとは思うが、一方でおかしいんじゃないか?という新たな矛盾も気になってしまう気がして、ストーリー的には特に秀でているわけではないので、再鑑賞しようとは思わない。個人的には全体ストーリーに惹かれるものがないため「インターステラー」や「インセプション」より下の評価になるし、過去のすべてを描いたわけではない結果、鑑賞者にそれぞれの解釈を任せた「メメント」ほど懐が深くもないため、それよりも下の評価となる。
エリザベス・デビッキが美しい。人並外れて長身だと、顔も間延びしてしまいがちなのだが、彼女は可愛らしさもある美貌で、まさに人間離れした容姿。一方で、ひげ面のジョン・デヴィッド・ワシントンは、ドーピングと体重超過を繰り返して山中慎介から王座を掠め取った、元バンタム級世界チャンピオン、ルイス・ネリに見えてしょうがなかった。