「カリートの道」 1993年米 評価3.5

監督:ブライアン・デ・パルマ
出演:アル・パチーノ、ショーン・ペン、ペネロープ・アン・ミラー他

2020年10月観賞

 麻薬組織の大物だったカリートは30年の刑期だったが、弁護士デイヴの働きのおかげで5年で釈放。カリートは南の島の観光地でレンタカー業を営むことを夢に見て、とりあえず当座の金を蓄えるため昔の仲間の手伝いをしつつ、決して明確な犯罪はしないで過ごしていた。しかし、昔の仲間がいる環境で次第にトラブルに巻き込まれ、犯罪に手を染めざるを得なくなる。

 冒頭の法廷でのカリートの演説シーンで、数多ある犯罪組織の大物というパチーノにありがちな役柄を彷彿させ、一気にいつものパターンかと萎えるのだが、パチーノの演技力(髭と、「マトリックス」のネオのような黒い革コートがカッコいい)と、デ・パルマらしい音楽の使い方や楽しませ方でその杞憂は和らいでいく。

 一方で、冒頭の映像でラストが分かっていることと、そのラストにもっていくためにかなり雑な展開(そのベースにあるのは、5年の刑務所暮らしでかなり勘が鈍ったのか、大物だったカリートがそんな選択するか?!という素人でも気づく間違いを何度も繰り返すこと)により、ストーリ自体はいまいち魅力がない。

 それでも、ラストの「アンタッチャブル」の駅の階段での銃撃戦を彷彿させる、地下鉄からセントラルステーションでの追いかけっこの下りはデ・パルマっぽい映像もあってかなり面白いので、楽しんで観れたのは事実。パチーノのマフィアや熱血漢という役柄をあまり観ていない人はもう少し楽しめると思う。

 本作はデ・パルマ監督、パチーノ主演のマフィアものという前情報のみで観たのだが、弁護士役の俳優が上手いなぁと思っていたら、なんと、ショーン・ペン!最後まで全く気付かなかった。