「ブルー・ジャスミン」 2013年米 評価4
監督:ウディ・アレン
出演:ケイト・ブランシェット、アレック・ボールドウィン、サリー・ホーキンス他
2020年9月観賞
ジャスミンは金持ちの実業家と結婚したものの、実は夫は詐欺まがいの投資会社を運営。また、浮気を繰り返したことが判明してジャスミンの激怒によるFBIへの通報からの有罪判決&破産となってしまう。夫と離婚した上、無一文となったジャスミンは異母妹の元で居候するが、裕福な生活に慣れた精神はそうすぐに変わることはできず。。。
ジャスミンは境遇が変っても、自分の良き時代の生活のことを話すのが好きで、相手を見下しがちで、決して下層階級の人と仲よくしようとは思わない、精神を病んだ変人という設定なのだが、確かに自分に対する自信過剰な面はあるにしろ「見たくないものは見ない」という生活の中で、夫の浮気には長年気付かず、夫が何をやっているかも興味がなく、単純に裕福な環境にがっつり浸った、生活力のない女性になっただけで、人間としての心根まで腐ってしまったわけではない。女性としての魅力があるのは間違いないし、普通の生活の中では極まともなので(歯医者の受付の仕事も頑張ってたし)、嘘をつくのは悪いにしても、運が悪くてどんどん精神的に追い詰めれれていくさまが何となく滑稽で可哀そうで愛すべき人物に見えてしまう。
これは、上述のような微妙な立ち位置の女性を完璧に演じているケイトの魅力にもよるもので、本作は、内容から何か人生の教訓になることが得られるとか深く感動するとか、そういう類のものではなく、ケイトの芝居を堪能するという観方が一番楽しめるのだと思うし、現に私にとってはとても楽しい100分間だった。ちなみにあまりウディ・アレンっぽさはない。