「許されざる者」 1992年米 評価3.5

監督:クリント・イーストウッド
出演:クリント・イーストウッド、モーガン・フリーマン、ジーン・ハックマン他

2020年9月観賞

 1880年代のアメリカ。かつて荒くれものとして名を馳せたマニーは、若い女性と結婚してから生活を改め、片田舎で3年前に亡くなった妻との間に授かった幼い兄妹と貧しい暮らしをしている。そんな彼の元に若きガンマンが訪れ、街で娼婦に大けがを負わせたことで首に1,000ドルの賞金がかけられた牧夫二人の殺害の誘いを受ける。マニーは旧友ネッドが参加することを条件に、10数年ぶりに賞金稼ぎの旅に出る。

 はずれの少ないイーストウッド監督作品だし、アカデミー作品賞、監督賞も受賞している作品だから、満を持してかなり期待して鑑賞に入ったのだが、肩透かしを食らったというのが正直な感想。

 マニーに殺しの相棒としての相談を持ち掛けるスコフィールド・キッドがダメダメ(近視で殺しの経験がなく、1,000ドルの3等分の計算もできない)で、殺しのプロ中のプロであるマニーが10年ぶりに信念を曲げての命をかけた旅の相棒としては絶対に許容できない(たとえ旧友ネッドを仲間に加えることを最初から考えていたとしてもだ)はずの人物であり、初っ端から違和感を感じずにいられない。老齢に差し掛かった二人が金に困っていたとしても、動機として納得できるものがなく、体もなまっている二人でもあり、ネッドは結局一人目の殺害後チームを離れていくし、マニーとネッドの友情描写はいいものの、2/3くらいまではかなりまったりとした流れである。

 終盤には悪役となるジーン・ハックマン演じる保安官の存在感によるところもあって、マニーの怒りの復讐はさすがに溜飲が下がるところなのだが、この保安官自身、確かに独裁者すぎるところはあるが、法を守ることが基本にあり、そこまでの悪人ではなく、あまりカタルシスは感じられない。また、キッドに殺しはするものではないという説教をすることで、許されざる者は自分も含めた殺人者であるということを示唆するが、最後の字幕で、「マニーはその後西部に移住し成功しましたとさ」というのも著しく納得がいかない。

 悪い出来ではないため平均点はクリアするが、期待値が高かったため、どうしても辛口評価になってしまう。