「レオン 完全版」 1996年仏・米 評価4 メジャー度4
監督:リュック・ベッソン
出演:ジャン・レノ、ナタリー・ポートマン、ゲイリー・オールドマン他
2020年8月観賞
ニューヨークのイタリア人街でひっそり暮らすレオンは実は超一流の殺し屋。ある日、アパートの近所に住む家族が麻薬取締局の捜査の中で惨殺され、ちょうど買い物に出ていたその家族の12歳の娘マチルダはレオンに助けを求める。そこから二人の共同生活が始まるが、マチルダは惨殺された弟の仇をとるために麻薬取締局の幹部であるノーマン殺害の手ほどきをレオンに依頼する。
19歳の時にイタリアで殺人を犯し、ニューヨークにやってきたレオンはそれ以来引きこもった生活をしているため、文字の読み書きもろくにできず、精神的に幼いまま大人になったような人物。そんなレオンと12歳の利発な美少女マチルダとの純愛というサイドストーリーが、二人での麻薬取締局への復讐というアクションと並行して描かれる。
間違いなくいい映画だと思う。ジャン・レノは映画館で「雨に唄えば」を食い入るように見つめる表情やマチルダとの会話で、世間を知らずに殺しのみに特化して成長してしまった男を絶妙に表現。ナタリー・ポートマンの12歳の美少女も非常に魅力的。ゲイリー・オールドマンの憎々しいイカレた取締局幹部もエキセントリックすぎない程度にぶっ飛んだ演技で素晴らしい。この主役級3人の登場人物像と演技だけで評価は間違いなく上がるし、そのほかの細かい演出もなかなか奥が深くて魅力的なのだが、その純愛は、ノーマン以外の警察官(中にはまともな人間も当然いるであろう)を何十人も殺して良い理由にはならない。あくまで生き方を間違ってしまった精神年齢の幼い殺し屋のレオンと12歳の少女の恋愛であり、本来、大人であれば、もっと生きてきた人生に基づく含蓄のある行動と言葉があるべきと思う私にとっては、この個性的な純愛は琴線を弾かない。