「恋におちて」 1984年米 評価3.5 メジャー度2


監督:ウール・グロスバード
出演:ロバート・デ・ニーロ、メリル・ストリープ、ハーヴェイ・カイテル他

1985年、2020年8月観賞

 建設会社に勤めるフランクは二人の息子と妻との4人暮らし。モリーは真面目な医者である夫との二人暮らし。一つ隣の駅近郊に住む二人は、クリスマスの日、マンハッタンの本屋でぶつかり、お互いの配偶者へのプレゼントを取り違えたことから、徐々に心を通わせるようになる。

 こんな不倫の映画を、16歳の高校生の時に4.5という評価をつけたのだが、観返してみるとありふれているし、深みのない内容と言わざるを得ない。

 まず、フランクもモリーもそんなには不幸せな家庭生活ではない。モリーは生真面目な夫に辟易しているところはあるものの、そのおかげで郊外の邸宅に住み、自分は趣味のような仕事に就いて暮らしていけている。フランクも、確かに妻との愛は冷め気味とはいえ、家族4人でそこそこ幸せに暮らしており、ただ単に不倫という関係に恋い焦がれて火遊びをしてしまったとしか感じられないのだ。その結果、失ったものは大きく、結ばれるであろう二人は決して幸せになるとは思えなくて、自業自得じゃないかとしか思えない。そもそも、美男美女ともいえない中年の男女がなぜお互いに急に魅かれだしたのかの描き方が雑で、正直、良くわからない。

 結局、当時高評価をつけたのは、上記のような大人視点からの矛盾を感じずに大人の恋愛はいいなと思ったことと、その当時飛ぶ鳥を落とす勢いだったデ・ニーロとストリープの演技合戦が凄かったということが理由なのではないかと思う。今、冷静に評価すると3.5というのが妥当だと思う。

 確かに二人の演技はすごい。間の取り方、その間の中での目やしぐさによる感情表現はさすがと思わせるものがある。しかし今観ると、お互いに個性的な顔立ちのデ・ニーロ&ストリープはどうしても「ディア・ハンター」のカップルを連想してしまうし、ハーヴェイ・カイテルの共演で「ミーン・ストリート」や「タクシー・ドライバー」を思い出してしまい、どうにも映画に集中しきれない。