「幸福の黄色いハンカチ」 1977年日 評価3.5 メジャー度4
監督:山田洋次
出演:高倉健、倍賞千恵子、武田鉄矢、桃井かおり他
1970年代中頃。夕張炭鉱で働いていた勇作は酒場の喧嘩で相手を殺してしまい6年強の網走刑務所の服役を経て出所してきた。行く当てのない勇作は、ひょんなことから、彼女に振られてやけになってマイカーで北海道旅行に来ていた欽也と、職場でのつらい思いから一人旅に来ていた朱実と一緒に旅をすることになったが、彼には夕張で一緒になったものの、獄中にいる間に別れた元妻光枝がおり、出所時に彼女に当て、「もしも待っていてくれるのなら玄関先に黄色いハンカチを吊るしておいてほしい」というハガキを出していた
ホームビデオで撮ったような揺れる画面、当時の街並みや車などから、いかにも古くてチープな印象。最後の何十枚もの黄色いハンカチがはためく場面は一瞬、感動を感じてしまうものの、ちょっと考えてみると、勇作と光枝の二人の場面からは二人の絆がそんなに深かったのかいまいちピンとこないし、理不尽な理由で立腹して飲み屋に繰り出し殺人まで犯した勇作に獄中で離婚の話まで切り出され、離婚届のやり取り後一度も面会に行かなかった、美人だけど薄幸で地味な光枝が、あんなに派手に黄色いハンカチを吊るすのも、なんかおかしいんじゃないかい?と感じてしまう。当時の、良しとされていたこの男女の描き方も古さを感じる要因だと思う
と、本筋のところには素直に感動できないものの、初めは軟派でいい加減なことばかり話していたが、勇作が同郷のチンピラ上がりだったと知ってからおとなしくなってしまう欽也と、だんだんと歯に衣着せぬ言葉を発するようになり、しまいには勇作に説教までしてしまう朱実のコンビの描写が秀逸で、ロードムービーとしてはとても面白い出来。