「ワルキューレ」 2008年米・独 評価3.5 メジャー度2


監督:ブライアン・シンガー
出演:トム・クルーズ、ケネス・ブラナー、ビル・ナイ、トム・ウィルキンソン他


 1943年。第二次世界大戦で劣勢に立たされ始めたドイツ内では、ヒトラーに反感を持つ軍人や政治家が密かにヒトラー暗殺の計画を進めていた。1943年7月に実際に決行された「ワルキューレ作戦」の顛末を史実にかなり忠実に再現。

 正直、実際の決行日より前の部分は平凡な出来。というのも主人公のシュタウフェンベルク大佐があれよあれよと暗殺計画の中心人物になっていくのだが、その過程の描き方が表面をなぞるだけになってしまっている。実際のシュタウフェンベルク大佐は貴族出身で頭脳明晰、人を惹きつける魅力が非常にあった人物だったらしいが、そこは主演のトム・クルーズのオーラで信頼に足る、出来る軍人の雰囲気を醸し出すことで代替、ということなのかもしれないが、そこを丁寧に描けばさらに内容に深みが増したのではないかと思われる。

 一方、史実として失敗に終わっているのが分かっている中で、どのように映画としてみせるか、難しい題材なのだが、そこは上手く作っていて、計画当日以降の、シュタウフェンベルク大佐および同志たちの行動のどこが間違いだったのか、様々なエッセンスをちりばめて、一種の謎解きのような進行は緊迫感がある。

 もしドイツ映画として作られていれば、ドイツでは英雄のシュタウフェンベルク大佐を中心に重厚な内容になったと思われるが、一方でブライアン・シンガー、トム・クルーズというハリウッド系の監督、主演作品で製作されたことで、自国以外に、ドイツ内でもこのような大々的な暗殺計画が行われていたという史実を広めたという功績はあると思う。少なくとも私は観賞後、ワルキューレ作戦をWikipediaでよーく調べた。