「ゼロ・ダーク・サーティ」 2012年米 評価3.5 メジャー度2


監督:キャスリン・ビグロー
出演:ジェシカ・チャステイン、ジェイソン・クラーク他


 2001年9月11日のアメリカ同時多発テロの指導者とされるウサマ・ビンラディンを米軍が2011年5月に殺害した顛末を描く、史実に基づいたフィクション。

 話はドキュメントタッチで、遅々として進まないビンラディンまでの捜索を丁寧に描く。まさに執念の追跡であるのだが、ラストの潜伏先への潜入の段階での高揚感はない。殺害までの約10年間は世界各地でテロが勃発しており、ビンラディン一人を抹殺したからと言って何が解決されるわけではない。それまでに仲間の死にも会い、莫大な予算を使用してきたのだが、その行為は何だったのかというのが最後の、主人公である女性捜査官の涙であったのだと思う。重くて硬質な映画だ。