「サウンド・オブ・ミュージック」 1965年米 評価5 メジャー度5


監督:ロバート・ワイズ
出演:ジュリー・アンドリュース、クリストファー・プラマー、エレノア・パーカー、シャーミアン・カー他


 第二次世界大戦、ナチス進行の少し前のオーストリア。修道女見習いの、活動的で奔放な性格のマリアを修道院は持て余していたが、美しい湖のほとりに立つ豪邸のトラップ大佐宅で7人の子どもの家庭教師の募集があり、マリアにその役目を担わせる。20人もの家庭教師がやめていったという家に赴任するマリアは不安を感じていたものの、持ち前の前向きな思想でその豪邸の玄関に立つ。

 言わずと知れたミュージカル映画の金字塔。アルプスを俯瞰する映像から、高原で歌い踊っているマリアをフォーカスし、流れてくる「サウンド・オブ・ミュージック」。まさに完璧な冒頭部分。前向きに生きるマリアを演じるジュリー・アンドリュースがはまり役で、また実際に歌唱力も抜群であり、彼女自身や子供たちと歌う「ドレミの歌」「私のお気に入り」「ひとりぼっちの羊飼い」「エーデルワイス」などのなんと魅力的なことか。本映画、また本作は何度も舞台になっているが、マリアといえばジュリー・アンドリュースしか思い浮かべられないというほどの運命的な適役。子役たちもそれぞれ個性的で「ドレミの歌」「私のお気に入り」「さようなら、ごきげんよう」のシーンなんかは一見しただけで永遠に忘れることができないほどの家族(または仲間)としての暖かい魅力に溢れており、もうね、見ている途中から楽しくて、なんて良い映画なんだろうと、こんな映画を若い時に観れたこと、また今映画館で観れたことについて人生に感謝したいくらいの気持ちになってしまう。

 今回の鑑賞はなんと32年ぶり3回目。当時学生だった私にとっては、困難に直面した時に本作のマリアの「自信を持って」という曲とそのシーンのセリフを思い出すなど、本作から与えられた影響は決して小さくない。3時間近い長尺だが、そのゆったりした流れだからこそ、登場人物の人物像を十分掘り下げられ、見どころの子どもたちとのミュージカルシーンも満載で、30年以上を経過しても、ほとんどのシーンを覚えているほど、まさに映画としての醍醐味、シーンが満載の映画であり、確かにご都合主義、楽観的なところがあるにしろ、映画の持つパワーを遺憾なく感じられる間違いない名作である。

 3回目での新たな発見は、長女役のシャーミアン・カーの美貌と惹き込まれる深く美しいブルーアイズ。本作後、すぐに結婚し女優業を引退したため出演作は本作ただ一本。16歳を演じるには少し年長(当時22歳)だが、彼女の美しさに見惚れてしまう。