「僕たちは希望という名の列車に乗った」 2018年独 評価4.5 メジャー度1
監督:ラース・クラウメ
出演:レオナルド・シャイヒャー、トム・グラメンツ、レナ・クレンク他
1956年。まだ「ベルリンの壁」が建築される以前の東ドイツ。優秀クラスに属する高校生のテオとクルトは、クラスメイト達と共に、ハンガリー革命で多くの若い命が犠牲になったことをラジオで知り、翌日の授業中に2分間の沈黙を遂行する。半分主義、半分遊び的な気持ちで行ったものだったが、その行為は教育大臣までが解決に乗り出す大問題へと発展する。
実話をもとにした作品で、第二次世界大戦の余韻も感じさせながらもソ連軍の支配下で社会主義が台頭する中で、将来に不安の影が落ち始める微妙な時代背景をベースに、クラスメイトの誰が誰を裏切るのかというハラハラするような展開や、家族、友人との信頼感など絶妙な配分で一気に見せる。
時代背景をしっかり描くからこそ、当時の権力の押し付けや若者たちの閉そく感という空気が醸成される結果、テオとクルト達の最後の決断の過酷さが胸に突き刺さる。新旧の実力派俳優たちの演技も素晴らしく、久々のヨーロッパ映画の小作&傑作。