「皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ」 2015年伊 評価3.5 メジャー度1
監督:ガブリエーレ・マイネッティ
出演:クラウディオ・サンタマリア、イレニア・パストレッリ、ルカ・マリネッリ他
現代イタリア。コソ泥のエンツォは高級腕時計を盗んで警察に追われ、川に身を潜めた際に放射性廃棄物の入ったドラム缶に嵌り、翌日、すさまじいパワーと驚異的な治癒能力を持つ肉体(まるで「X-MEN」のウルヴァリン)を手に入れる。その日、チンピラ仲間のセルジョが諍いで殺され、「鋼鉄ジーグ」の熱狂的ファンの精神的にイカれた彼の娘アレッシアを引き取ったところ、アレッシアはエンツォを「鋼鉄ジーグ」の主人公ヒロシと信じ、エンツォにヒーローとして生きることを説く。
元々あり得ないストーリーというのはわかっていたが(しかし、毎度の放射性物質がその起因というのには辟易)、そんなことに拘らずに、かつて私が7〜8歳の時にアニメ放映され、イタリアで人気のある「鋼鉄ジーグ」が題材として使われているということもあり、頭を空っぽにして楽しんじゃえと思った次第。
手に入れたパワーでATMを破壊、現金輸送車を襲撃しているのに、街中でその力を使っても逮捕されないとか、出始めは明らかにイカれたアレッシアがだんだんと普通のヒロインになってしまうところなど、かなり雑なところもあるし、話の展開的には目新しいものもないというのが正直なところだが、まったく外見的に冴えない中年のおっさんがヒーローになったり、敵役も個性的だったり、イタリアのアカデミー賞を7部門受賞というには下世話な映画とは思うが、120分を長く感じさせないパワーがあるのは確か。
久しぶりに見た「鋼鉄ジーグ」を、こんなにずんぐりむっくりだったっけ?と新発見。また、擬音が連射される主題歌(水木一郎が歌う、素晴らしくカッコいいアニソン)は、イタリアの歌詞ではとても高尚で哀愁漂う内容になっていたりと、そっちのほうでも楽しませてくれた。