「シン ゴジラ」 2016年日 評価3.5 メジャー度5
監督:庵野秀明
出演:長谷川博己、竹野内豊、石原さとみ、大杉漣 他
東京湾に巨大生物が出現。多摩川河口から上陸し、2足歩行の巨大怪獣に進化(ゴジラと命名)。その後一度海に戻るが、数日後、さらに巨大化して来襲。自衛隊だけの攻撃では進行を止められず、米軍の協力を得て総攻撃を加えるが、尾びれや口から放射能を持った光線を放つゴジラには全く歯が立たない。国連から核爆弾投下を決定された日本政府はどのようにゴジラを止めることができるのか。
1954年の初代ゴジラの音楽を使い、ゴジラの造形もそれに倣うなど、大ヒットして世界的にも名高い第1作へのリスペクトが感じられる。また、公開作品の半分以上が、イケメン俳優を揃えた、ありきたりでお涙頂戴的な恋愛金太郎飴的映画である日本映画界の中で、そのような甘っちょろい演出を極力排し、個性的な俳優たちで作り上げた、久々に気骨のある、観客に媚びない日本映画として、称賛されるべき内容である。
とはいえ、自衛隊では攻撃できないとか、政府のお役所主義的な対応などは、これまでも散々描かれてきた内容で新鮮味はなく、進化前の巨大生物は張りぼての作り物みたいで奇妙な外見と動きだったり、ゴジラを止めるための血液凝固剤が経口注入???という大事な場面で明確にクエスチョンマークが出てきてしまうのが残念である。また、唯一の余計な登場人物である石原さとみ演じる米国大統領特使がうざい。
まき散らされた放射能の拡散予測、福島第一事故でも活躍した“キリン”での経口注入、住民を避難させゴジラを止めた後は復興という流れに見るとおり、明らかにゴジラは原子力発電所を彷彿とさせる。それはそれでいいのだが、なぜゴジラは日本に上陸したのか、それが全く語られないから、ゴジラの影が非常に薄いというのが一番の大きな減点材料ではないか。日本人が自らの力で解決したという人間ドラマが主題であり、ゴジラ来襲の意図が分からないのであればゴジラでなくても良くて、よくできた映画だが、何度も見たいとか、記憶に残るような映画ではないと思う。