「X−MEN アポカリプス」 2016年米 評価3.5 メジャー度3


監督:ブライアン・シンガー
出演:ジェームズ・マカヴォイ、マイケル・ファスベンダー、ジェニファー・ローレンス 他


 紀元前数千年。エジプトを支配する王アポカリプスはミュータントで、これまでミュータント間で体を乗り移りながら強力な力を持つようになっていたが、部下の反乱により、地下の瓦礫の中に封印されていた。しかしそれが現代に生き返り、現代のミュータントの力を借りながら、世界征服をもくろむ。

 まず、悪者側のボスになるアポカリプスがものすごい力を持っていながら、なぜ個々には矮小な力しか持たないX-MEN単体の力を必要としたのかの説得力がない。全世界の核兵器発射に関わる関係者全員をコントロールして発射させ、全核兵器を宇宙に放出するほどの力があるのなら、プロフェサーの能力さえ不要。前作では最新鋭ロボット、今回は過去からの超強力ミュータントを登場させ、どんどん悪役が強力化してきて、もう、収まりがつかなくなっている感じ。もともとX-MENはミュータントの苦悩を描くのも大きな柱だったのに、なんだが道を外れていっている感じがする。

 それ以外にもプロフェサーがいまだにナンパっぽいところは否めないし、1〜3作の内容との齟齬(本作で、マグニートーは地球の磁場まで操ってしまう、ジーンがものすごいパワーを発揮するなど)があるなど、いまいち演出やストーリーにケチがつくところはあるが、個々のミュータントの成長物語や、やはりおなじみの超能力の発揮ぶりは面白い。

 プロフェサーがスキンヘッドになった理由とか、ストームやサイクロップスのX-MENへの加入経緯、なぜマグニートーやストームが1〜3作目のような力を持つようになったのか、など、X-MENシリーズを観続けている者にとっては、興味をそそる場面は多い(ウルヴァリンの特別出演もある)のだが、それはあくまで観てきた者が感じるだけで、本作だけ、または4作目からしか観ていない者にとっては、ちょっときつい内容かもしれない。