「団地」 2016年日 評価2.5 メジャー度2

監督:阪本順治
出演:藤山直美、岸部一徳、大楠道代、石橋蓮司、斎藤工 他


 老舗の漢方薬屋を営んでいた山本夫妻は、跡継ぎ息子を交通事故で失った失意から大阪郊外の団地に引っ越し、隠遁生活を始めるが、かつての顧客から大量の注文を受けて部屋の中で漢方薬製作に励む。一方主人のほうが全く外に出なくなったことから、団地の婦人連中から、妻に殺害されたのではないかとの噂が立ち始める。

 藤山直美と岸部一徳という個性ある実力者を主役夫婦に配し、初めのうちはそのやり取りが自然でユーモラスでいい感じなのだが、だんだんと舞台芝居のような演出になり、観客に舞台上から直接訴えかけるようなシーンや、現実ではありえない動作やセリフが気になるようになる。

 それ以外にも団地の主婦連は紋切り型だし、夫が全く表に出なくて殺されたという噂が立つのも、外に出ない原因がとってつけたようなもので必然性がなく、無理やりストーリーを作った印象。

 このような作りなら何も映画にする必要はなく、舞台でやっててほしいという感じだし、またラストも、この映画を観に来る客層の理解力を完全に無視する内容(私にも解釈することができない)で、かなり製作者本位で作り上げてしまった自己満足度だけが高い作品と言わざるを得ない。