「クリード チャンプを継ぐ男」 2015年米 評価3.5 メジャー度2
監督:ライアン・クーグラー
出演:マイケル・B・ジョーダン、シルベスター・スタローン 他
2度の戦いを経て、ロッキーと親友となり、「ロッキー3」でロッキーを支え、「ロッキー4」でロシアの怪物になぶり殺しにされたアポロ・クリード。彼には愛人との間にアドニスという息子がいた。アドニスは荒れた少年時代を過ごしたがその後アポロの実妻に引き取られ、まともな社会人となっていたが、その陰でボクサーになりたいとの夢を捨て切れず、父の親友だったロッキーに師事を懇願する。
内容的には明らかにロッキーシリーズに連なるものだ。主人公の上記の成り立ちに加え、老いたロッキーの描写は「ロッキー・ザ・ファイナル」を忠実に引き継いでいる。老いたロッキーの周りには、エイドリアンの兄ポーリーも、息子ロバートも、もう誰もいない。そんなロッキーが最後に面倒を見たのが親友アポロの息子という筋書き。ボクシングシーンは、ボクシングのコアなファンの私にとっては、おかしなところはあるものの、明らかにこれまでよりかなりまともな出来であるし、主人公役のジョーダンの面影にアポロに似たところがあって、また恋人との描写もなかなか上手くまとまっていて、いい映画だとは思う。
ただ、あまりにあらすじが「ロッキー」に似すぎているのだ。偶然、強いチャンピオンの相手に選ばれるところ、一人の老トレーナーの元で修業を積むところ、修行風景に、純粋な恋人。ロッキーシリーズを知っている者にとって、ロッキー自身の歴史と老いを感じられるのは良い面かもしれないが、ストーリーが二番煎じ。知らない者にとってはロッキーの抱える悩みや取っている行動意識の源泉までは分からない。少し中途半端ではある。