「スター・ウォーズ フォースの覚醒」 2015年米 評価4.5 メジャー度5


監督:J・J・エイブラムス
出演:デイジー・リドリー、ハリソン・フォード、ジョン・ボイエガ、アダム・ドライバー 他


 スター・ウォーズシリーズのエピソード7。6で帝国軍の銀河皇帝を倒し、死にゆく父ダースベーダーと和解したルークであったが、その後、ジェダイ戦士を育てる中で弟子の裏切りにあってから、人知れぬ場所で隠居生活を続けていた。その間に帝国軍は巻き返し、惑星さえ吹っ飛ばす強力レーザー砲を開発し、共和国の惑星を破壊する。果たしてジェダイはどうなったのか、世界は帝国軍の思いのままになってしまうのか。そのカギを握るのは砂漠の星にて人を待つ、まだ自身は気付いていないが驚異的なフォースをもつ若き女性レイだった。

 本作の主役は間違いなくハン・ソロだ。本シリーズは、軸となる配役に無名の俳優を使うことによってシリーズ自体の統一性や一貫性を際立たせてきたのであるが、本作に限っては、エピソード4〜6の登場人物の中で唯一一流スターとなったハリソン・フォードの持つオーラが、全てのストーリーを引っ張っていくのだ。そして、もちろんハン・ソロはストーリーの軸の傍流でしかないため、その命を奪われる。その死は、ハン・ソロに惹かれ続けたSWファンにとっては大きな打撃である。しかし、それに代わって台頭してくる女性レイがとてもアクティヴで魅力があり、次作への期待を見事につなげていく。後半にはレイアもルークもC3POもR2D2ももちろん出てくるし、少しの哀愁とともに、また新たなシリーズが始まったという期待を感じさせる見事なつくりだ。女子供、動物なんかで感傷的にさせていないところも良い。

 ただ、明確な欠点はある。まず、悪役方の主人公カイロ・レンが弱すぎること。一介のストームトルーパーでしかない(はず?)フィンとのライトセーバー対決で互角というのはあり得ないだろう。それとフォースの力を軽視し過ぎのきらいもある。ルークがあれほどヨーダからの特訓を受けてものにしたライトセーバーを、フィンはすぐに使いこなすし、レイはカイロ・レン以上に縦横無難に使う。どちらもジェダイの血を引いていなければこんなことにはならないはずで、前者は黒人なので、もちろん!メイス・ウィンドゥ、後者はどう間違ってもルークの娘でないと辻褄は合わない。もし、この後のシリーズで、多くのファンが持つであろうこの疑念が置き去りにされるとしたら、本作の評価を下げるほどの大問題だ。

 とはいえ、映画館で観て気がついた。暗闇の中で多くのファンたちと一緒に、大画面、大音響とともに映画の中に浸っていく。それこそが映画の醍醐味なのである。そんな単純で純粋で根本的なことに気づかせてくれる。映画鑑賞後、小学4年生の息子(全エピソード鑑賞済み)と内容について語り合えるということだけとっても、やはりこのシリーズはお祭りだ。私が生きている中で全てのエピソードが完結するということが、この人生の中の一つの幸福だったとさえ感じてしまう。内容的にはエピソード6と終焉に向けての橋渡し的内容であり、尻切れトンボ的な中身だが、自作を期待しての甘い評価にはなってしまう。