「日本のいちばん長い日」 2015年日 評価2 メジャー度3


監督:原田眞人
出演:役所広司、本木雅弘、松坂桃李 他


 敗戦濃厚の第二次世界大戦末期の日本。戦争をどう終わらせるかに関しての天皇の苦悩、一億総玉砕本土決戦の思想を持つ多くの部下を率いる阿南陸軍大臣のジレンマを軸に、阿南大臣の家族や血気盛んな若きイケメン将校たちの右翼的思想などを絡ませた、終戦70年記念作品

 とにかく、物語の軸がはっきりしない。色々なことを、史実にできるだけ忠実に幅広く描いた結果、天皇に関しては、戦争の痛みを感じさせない宮内庁での平和的な生活ぶりなどから、戦況をどの程度理解し、苦しんでいるのかが良く分からない。イケメン将校たちの、結局は失敗に終わったクーデターにはかなりの時間が割かれているのだが、その強硬な思想の源泉がどこなのかがわからない。阿南大臣はとても信頼されていた人物だが、それがなぜなのか、また、終戦決定までに担った役割がどのようなものか、伝わってこない。結局、この映画は何を主題として作られているのか宙ぶらりんな状態になっている。

 イケメン達:かっこいい、阿南大臣:男らしい、天皇:かわいそう、という単純な図式にした結果、全体としてなんとも散漫な映画で、上映時間2時間16分がとても長く感じた。