「地獄の黙示録 特別完全版」 2001年日 評価3 メジャー度3


監督:フランシス・フォード・コッポラ
出演:マーティン・シーン、マーロン・ブランド、ロバート・デュヴァル、デニス・ホッパー 他


 ベトナム戦争に服役し、一度故郷に戻ったが元の生活になじめずに悶々としていたウィラード大尉のもとに、優秀な成績と戦績を収めて軍の幹部候補とされていたものの、ある事件をきっかけに、単独でカンボジアに自身の帝国を作って君臨しているカーツ大佐暗殺の命令が下る。ウィラード大尉は、4名の部下とともにカーツの帝国に行くために川を登るが、その過程でベトナム戦争の悲惨さ、無意味な動機などに直面する。そしてついにカーツ大佐と対峙することになる。

 1979年のオリジナル版に53分の未公開シーンが追加されている。私はオリジナル版を高校1年生の時に観たが、正直あまりよくわからないという感想だった。特別完全版は未公開シーン(ベトナム奥地の旧フランス領におけるシーンや、気がふれてしまっているプレイメイト達を買春するシーンなど)があるおかげで、ある程度わかりやすくなったと思うし、その未公開部分でベトナム戦争の矛盾や狂気など、アメリカにとっては痛い部分を風刺しており、オリジナルより観応えのあるものになっていると思う。

 大規模な屋外撮影は、特撮ではとても出せない臨場感を感じさせるし、この映画辺りから顕著になった、晩年の黒澤作品にも共通するコッポラの映像美を追求する作風は、まだ、本作ではプラスの効果の方が大きい。しかし、マーロン・ブランドが思いのほか肥満して元々の脚本のストーリーで撮れなかったという影響は大きく、カーツ帝国の意味合いが著しく不明瞭で、どうしても中途半端感はぬぐえない。