「アメリカン・スナイパー」 2014年米 評価3.5 メジャー度3


監督:クリント・イーストウッド
出演:ブラッドリー・クーパー、シエナ・ミラー、カイル・ガルナー 他


 子供のころに父親から言われた「人間には羊と狼と番犬の3種類がいる。おまえは番犬になれ」という言葉を胸に青年となったカイルは、1998年の米大使館爆破事件を観て海軍に志願。狙撃兵として才能を開花させ、2001年の同時多発テロ事件後はイラクに派遣される。イラクで160人以上を狙撃したカイルは仲間達から「レジェンド」と呼ばれるようになるが、4度のイラク派遣の経験はカイルの心を蝕み、帰国する度に家族との溝は深まっていく。

 私が今最も信頼するイーストウッド監督作品であり、他の作品と同様、衝撃的な題材を扱っていながらも、決して感情的にならず、冷徹に観客に考えることを要求する内容だろうとかなり期待していたのだが、平凡な内容になっていて残念。イラクでの戦闘の描写は緊迫感があり手に汗にぎるが、その内容や、米国に戻り家族と暮らしている間も戦争による精神障害に苦しむ描写は、これまでも様々な映画で描写されてきたもので、特に新しさはない。また、退役して本当の自分を取り戻すまでの描写が時間的にも短く、上手く表現できていないことも、全体として普通にまとまりすぎたなと感じる要因である。