「鷲の指輪」 92年ポ,仏,英,独  評価4(5点満点) メジャー度2

監督:アンジェイ・ワイダ
出演:ラファウ・クルリコフスキ,ツェザルイ・パズーラ他

 アンジェイ・ワイダといえば「灰とダイヤモンド」だが,それから40年近く経てほぼ同じ題材(44年ポーランド蜂起)をテーマに,老いを感じさせずに生き生きとパワフルに演出した作品。

 なにぶん,ポーランド蜂起というのを私は世界大戦のようにはほとんど知らないため,題名の元になり,劇中キーワードとして扱われる「鷲の指輪」の意味もわからないが,良い映画というのに異論はない。この歴史的事実を少し勉強すればもっと面白い映画だったかもしれない。

 44年ドイツ占領下のポーランド。国家は,自由主義系と共産党系に別れていたが,共に協力し合いドイツ軍と戦った。この時,ソ連軍はワルシャワ近郊まで進行していたが,ポーランドを見殺し。その裏には大戦後,ポーランドを共産党圏に加えたいという魂胆もあった。そのような状況下,自由主義党員として蜂起に参加したが国家に利用され,夢崩れ死んでいく一人の男を淡々と描いた硬質な作品。

 劇中,「灰とダイヤモンド」のカウンターにウオッカを並べ大戦中に死んでいった同士の名前を呼びながら1つ1つ火をつけていくというシーンが再現され,ワイダ監督の執念が感じられる。