「ゴーン・ガール」 2014年米 評価4.5 メジャー度3


監督:デヴィッド・フィンチャー
出演:ベン・アフレック、ロザムンド・パイク 他


 ニューヨークで働いていたときに知り合ったニックとエイミーはその後結婚したが、ニックの母親が末期癌に侵されたため、二人はニックの故郷ミズーリ州に移住。しかし、5回目の結婚記念日にエイミーは失踪する。家には血痕、エイミーの日記には夫の堕落的な生活が書き綴られ、マスコミの報道やニックの浮気判明にもより、世間はニックが妻を殺したのではないのかという疑問を持ち始める。

 果たして、エイミーはどこにいったのか、それとも誰か(夫含む)に殺されたのかというミステリーが前半部分。後半からは実はこの事件はエイミーが長年温めていた計画であったことの謎解きと、予定外の展開による、さらなるミステリーとなっており、一時の油断もならないストーリーにぐいぐい引き込まれる。ラストの方はちょっとそれは無理があるんじゃない?という点がいくつかはあるが、見てる途中はそれを感じさせない求心力がある。
 
 本作は、もちろんそのストーリーが魅力ではあるのだが、私が感心したのは登場人物の作り上げ方。なぜ、有名著書の登場人物モデルでもあった洗練された都会の女性エイミーが惹かれた男が、硬筋肉マッチョで野暮ったい風情のベン・アフレックなのか、と最初から感じていたが、それがエイミーの志向なのね、と段々と判明してくるし、人当たりのいい田舎男ニックと、彼の相思相愛の双子の妹の描き方もうまく、エイミーのエキセントリックさに目を奪われがちだが、ニック兄妹の描写が丁寧なため、余計に際立ったと思われる。

 ラストが中途半端といえば中途半端だが、深読みすればそうでなければもうニックは人並みの生活は送れないのであり、更に怖さが増す。非常によくできているとともに、人間のしようのない打算も感じさせる現代的なミステリーである。