「インターステラー」 2014年米・英 評価4 メジャー度4


監督:クリストファー・ノーラン
出演:マシュー・マコノヒー、アン・ハサウェイ、マット・デイモン、マイケル・ケイン 他


 近未来。地球は環境破壊の影響で徐々に食物が作れなくなっており、人類が地球上で暮らせる時間は残り少なくなってきていた。武器や機械の開発より農業という方針の中、細々と秘密裏に進められてきた他惑星への移住計画のパイロットとして選出された、かつての宇宙飛行士クーパーは、他3名の博士とともに、土星近辺のワームホールを抜けた遥かな銀河へ人類の移住先を探す旅に出る。

 私は地球外生物はいない方がおかしいと思っているし、地球上の学問では到底説明しきれない不可思議なことが宇宙にはたくさんあると信じているから、最新の映像技術を駆使して描いている、ワームホールやブラックホール、理解不能な5次元の世界は、比較的すんなりと受け入れることができるし、とても素晴らしい出来だとは思う。しかし、ラストの方で主人公が、まだ自分が地球にいる時代の娘に異次元から語りかける場面があるが、それは物語の中で語られる「過去には戻れない」と矛盾しているとか、再度宇宙に旅立つほど、宇宙船に同乗したアメリアを愛していたっけ?それをなぜ娘が知っている?など、ストーリーを終結するため、最後に雑な部分が目立ってしまう。とはいえ、近ごろ珍しい3時間近くの長尺の中で、十分に家族のふれあい、宇宙空間の実情を丁寧に描いているし、お涙ちょうだい的な過度の演出も恋愛描写もほとんどない、良質な映画である。

 本作は、ワームホールやブラックホールを抜けて人知を超えた世界を旅するストーリーであるため、どうしても「2001年宇宙の旅」と比べざるを得ない。「2001年〜」は言ってみれば観客の感性など突き放したようなラストの展開なのだが、現在では商業上、そのような終わり方はできないんだろうな。本作は、比べて明らかに落ちるとまでは言えないほどのレベルにある映画とは思うが、逆にもう二度と「2001年〜」のような並はずれた映画はできないのだろうということも感じさせる。

 マシュー・マコノヒーは1997年のSF映画「コンタクト」で主人公の女性技師にまとわりつくナンパ男を演じていたのに、本作では立派な宇宙技師。年齢を重ねて脂がのってきて、良い俳優になった。また、後半にいきなり主役級のマット・デイモンが出てきたり、名優マイケル・ケインやジョン・リスゴーを使っていたり、俳優の使い方も渋い。