「鍵泥棒のメソッド」 2012年日 評価3.5 メジャー度4

監督:内田けんじ
出演:堺雅人、香川照之、広末涼子、荒川良々 他


 エキストラのアルバイトでその日暮らしをしている桜井は、銭湯で、すっ転んで記憶をなくした金持ちらしい“コンドウ”と自分のロッカーキーをすり替え、そのまま高級車と財布の大金を使い込む。さらにコンドウのマンションの部屋に忍び込んだ桜井は、コンドウの仕事を知ることになる。

 「運命じゃない人」でいまどき珍しい、派手さのない、脚本の面白さで映画を作る内田けんじの4作目。監督が信頼されているためか、過去作品と比べてネームバリューのある俳優を使用している。堺雅人はTVでブレイクする前だったが、アクの強いキャラクター(濃すぎて好きになれないが)、香川は上手いしコミカル系でも笑わせる。私の嫌いな広末も、ちょっと変ったキャラのアラサーで、初めていいんじゃない?と思わせる演技で、それぞれ良い仕事をしている。

 前半は笑わせるところも多いし、話の展開も小気味いいのだが、コンドウが記憶を取り戻してからが現実的でないところも、ストーリーとして意外性がないというところも感じてしまい、良い話で終わらせすぎちゃっているのが物足りない。名のある俳優を使うとこういうことになってしまうのかもしれないが、この人の脚本は「運命じゃない人」のささくれ感のほうが似合うし、もう少し生活感を表現したほうがいいように思う。