「オール・ユー・ニード・イズ・キル」 2014年米・英 評価4 メジャー度4


監督:ダグ・リーマン
出演:トム・クルーズ、エミリー・ブラント、ビル・パクストン 他


 宇宙から来た謎の侵略生物ギタイによって、ヨーロッパは壊滅状態となっていた。軍の広報官であるケイジ少佐は、将軍に後方戦略の一環として翌日のヨーロッパでの作戦への参加を指示される。ケイジは拒否するが、拘束されて気を失い、目を覚ますと、そこは前線の訓練基地であった。翌日の1回目の突撃でケイジはあっけなく死んでしまうが、前日の同じ場所、同じ時間で記憶だけが残って目覚めるのだった。日本のライトノベルを原作としたことでも話題を呼んだ。

 このタイムトラベル自体の設定は昔からSF小説によくあるもので目新しいものではないが、何度も何度も生き返ることでたった2日間を次第に有効に過ごしていく描き方が上手くできている。ケイジの行動と台詞で何百回とケイジが死んでいること、あきれるくらい何度も同じ場面を経験していることを表現しており、そして少しずつケイジがギタイを倒すために進化していっていることが、ストーリー的に非常に面白い。また、ヒロイン役のエミリー・グラントも非常にクールで魅力的。二人の間には恋愛感情がほとんど芽生えないという徹底したストイックさも、本作を硬質なイメージとしている。

 なんだか、ギタイが最後を迎えるところがわかりづらいのと、ケイジが何百回も死んだあとに残された地球はギタイに征服されているとしたら、最後にギタイを討伐した世界だけがハッピーだとしてもそれでいいの?とか、多少疑念が残るが、映画として面白いのは間違いない。