「悪人」 2010年日 評価3 メジャー度3


監督:李相日
出演:妻夫木聡、深津絵里、柄本明、樹木希林、満島ひかり、岡田将生 他


 出会い系サイトで知り合ったプライドの高い小生意気な女を刺殺した祐一は、そのあと、以前に同じく出会い系サイトで知り合い、幾度かメールのやり取りをした紳士服量販店で働く平凡で、生活に孤独を感じている光代と会い、お互いの孤独を埋め合わせながら、二人は逃避行を続ける。

 30歳程度で真面目に生きてきた光代が、勢いで体を許した殺人者祐一に添い遂げようとする意識の転換が理解できないし、祐一も、幼い頃に父にも母にも捨てられ20年以上も孤独に生きてきており、光代との肉体関係により急に善人になるというのにも無理がある。また、殺人を犯したのにもかかわらず、被害者、加害者の関係者の苦悩をそっちのけで、祐一と光代の純愛とでもいえる面に焦点が当たっているのも腑に落ちないまま話は展開する。

 芸達者な俳優たちを並べて、ドラマとしては非常に見所があり、観ることの意義はあるのだが、内容は好きになれないし、納得もできない。