「風と共に去りぬ」 39年米 評価5 メジャー度5


監督:ヴィクター・フレミング
出演:ヴィヴィアン・リー、クラーク・ゲイブル、オリヴィア・デ・ハヴィランド、レスリー・ハワード他


 南北戦争前後の南部アトランタを舞台に、大地主の娘で、その美貌と勝気な性格で社交界の中心であったスカーレット・オハラの、南北戦争を経て、無一文、3度の結婚と破局など、数々の困難を乗りこえてたくましく生きていく姿を描いた、映画史上に残る名作。

 途中休憩を入れて約4時間という長編だが、その長さを感じないほどの密度の濃さである。マーガレット・ミッチェルの原作を出来るだけ忠実に再現するためには、もちろんこれでも足りないのだろうが、出演者たちの素晴らしい演技や世界初となる全編カラー映像で、緻密でかつ壮大に、映画として考えられる最上の描写をしているとともに、リーやゲイブル、ハヴィランド等の名優の魅力も余すことなく伝えている。

 当時の映画は長い年月を描いても一人の俳優が演じることが多く、今ほどメイクアップ技術も発達していないため、リーの10代というのも、当時40歳を越えていたアシュレーが20代の青年というのも甚だ違和感があるし、背景と前景が合わない合成映像の陳腐感も感じるのだが、それは時代的にしょうがないことで、それよりも、これほど俳優の台詞や映像のすべてを駆使して原作に忠実に、しかも映画としての見せ場もちりばめながらの高密度の4時間という大作は、確かに空前絶後というにふさわしい名作である。