「運命じゃない人」 04年日 評価4.5 メジャー度2
監督:内田けんじ
出演:中村靖日、霧島れいか、山中聡、山下規介、板谷由夏他
婚約者の浮気を知った真紀は独りで生きる決意をし、一人、夜のレストランにいたところ、向かいのテーブルで、真面目で彼女に振られたばかりのサラリーマン宮田と食事をしていた、探偵事務所の神田に声をかけられ、一緒に食事をする。しかし、神田はトイレに行ったまま戻ってこず、やさしい宮田と話が合って、宮田のマンションに一晩泊まることにする。
ある平日の夜中から翌日の朝までの半日を宮田、神田、そしてやくざの浅井を主とした3つの視点から描いていく。その3人に、真紀と、宮田の前の彼女で実は結婚詐欺のあゆみの二人が絡み、まずは宮田の視点から淡々とストーリーが展開され、そのあと神田、浅井の視点からその裏側にあったサイドストーリーが詳らかになる。意外性やテンポの良い展開をベースにしつつ、途中笑わせる描写を織り交ぜ、しかもどの登場人物も一癖あって魅力的なのも良く、全体としてまとまって、ぎすぎすしない雰囲気も不思議と心地よい。
低予算映画で、有名な俳優は出ていないため、映画の醍醐味とか演技に唸るというようなことは求められないが、そのような状況で製作された中では最良の面白さを持つと言ってよいだろう。やっぱり、脚本が面白いと言うのは何にも増して大事なことだと感じさせる映画だ。
本監督は次の「アフタースクール」(08)では一気に著名俳優を大挙して使用できる立場になり、「鍵泥棒のメソッド」(12)も評判を呼ぶなど、良い映画を作ると環境も変わるというサクセスストーリーがまだ成り立っているという日本の映画界に光明を見る思いだ。