「運動靴と赤い金魚」 97年イラン 評価4 メジャー度2


監督:マジッド・マジディ
出演:アミル・ナージ、ミル=ファロク・ハシェミアン、バハレ・セッデキ他


 小学3年生のアリは、おつかいの途中、修理してもらった妹ザーラの靴を失くしてしまう。新たに靴を買う金もない親に知れるのを恐れたアリは、失くしたことを親に告げぬようザーラに頼み、兄妹はアリの運動靴を2人で共有する。朝はザーラが運動靴を履いて登校し、昼はアリがサンダルで学校の近くまで行き、下校途中のザーラと互いの靴を交換して学校へ行く毎日。ある日、小学生のマラソン大会の三位の景品が、新しい運動靴であることを知ったアリは、三位を目指して走るのだった。

 貧乏な暮らしの中でも決してめげずに親を助け、ひねくれる事がない兄妹。側溝を流される運動靴、失くしたザーラの靴を履いていた少女を見つけたエピソード。満点を取って先生からご褒美にもらった金のペンを妹にあげるアリなど、細かなエピソードを大人の感覚ではなく、こども目線で丁寧に切り取る演出は特徴的で、和ませ、評価されるものと思う。(モントリオール世界映画祭でグランプリ)

 しかし、わかりやすく先の読めるストーリー展開や、なんとなくチープな映像は芸術性というものを感じさせず、テレビドラマっぽいところを感じさせることは否定できない。愛すべき小品ではあるし、決して嫌いではないが、何度も観るという類の映画ではないだろう。