「M★A★S★H」 70年米 評価4.5 メジャー度2


監督:ロバート・アルトマン
出演:エリオット・グールド、ドナルド・サザーランド、トム・スケリット、ロバート・デュヴァル他


 朝鮮戦争の軍医部隊に配属されたホークアイとデューク、トラッパーは手術の腕はよく、勤務中は真面目に働くが、軍律や規律は守らずに、看護婦にちょっかいを出したり、堅物の上司の弱みを握って追い出したり、やりたい放題で、部隊を自分らの住み心地のよい環境へと変えていく。

 最初の鑑賞は社会人1年目で、やることはやるがあとは本能のままに振舞う3人の開放的な生き方が実に魅力的で、評価も4.5をつけたぐらいである。最近の窮屈で先の見えない会社生活の中で、何か自分の心の中に突破口を開けないかという気持ちがあり、今回、約20年ぶりに観返してみたものである。

 正直に言うと、やはり時代の流れか、20年前は内容に非常な斬新さを感じたが、自由を自由とも感じなくなった現代ではその感情も希薄になるため、今、評点をつければ4が妥当かもしれない。しかし、気付いたこともあり、3人はオフにはハチャメチャなことをやっているようには見えるが、おばかなコメディ映画の主人公のようにただバカなことをやっているわけではなく、例えばデュークは女ったらしだがホークアイはそうこだわりはなく、トラッパーは全く興味もないように見える。瀕死の負傷者が次から次にやってきて、すぐにでも殺伐としてしまう軍医部隊の中で、節度をもちながら、悲惨な環境でも楽しんでしまえという姿勢が、ただのコメディ映画とは一線を画する登場人物の魅力となっている。このような、至極まっとうで魅力的な男たちの生き方は、負のスパイラルの中でどんどん萎縮していってはだめで、人生は今ある環境の中で楽しまなくてはという気持ちにさせてくれる。昔と変わらず、特別な映画であるということを再確認した。