「X−MEN ファースト・ジェネレーション」 11年米 評価4 メジャー度4
監督:マシュー・ヴォーン
出演:ジェームズ・マカヴォイ、マイケル・ファスベンダー、ケヴィン・ベーコン他
2000年から2006年までのウルヴァリン(ヒュー・ジャックマン)をメインとした、現代を舞台とする3部作からさかのぼること約60年。現代では敵対している人間との共存を願うミュータント軍団のリーダー、プロフェサーXと世界を支配しようという軍団を率いるマグニートーの子供時代から、二人が強い絆で結ばれ、1962年のキューバ危機(もちろん史実とは全くかけ離れているのだが)を舞台にして決裂するまでを描く。
このように、今回はプロフェサーXとマグニートーの友情、登場ミュータントが絞られていることによるミュータントの持つそれぞれの悩み、人間がなぜミュータントを脅威と感じ始めたのか等が丁寧に描かれ、ドラマ的な側面での魅力も大きく、単なるアクション映画に収まらない面白さを感じることができる。
私が、ハリウッド娯楽映画のシリーズ物で映画館で観ているのは「マトリックス」と本シリーズだけである。前者は発想と映像の奇抜さで他と一線を画していたし、本シリーズについては、昔の、ウルトラマンや仮面ライダーの兄弟全員集合といった回のヒーロー勢ぞろいにわくわくする感覚に似た楽しさがある。
後の3部作につなげる必要があるため、描かなければいけないことはたくさんあり、エピソードの羅列になってしまう危険性は多分にあったと思うが、そのアイテムが、丁寧なドラマ描写の中にちりばめられている関係でスター・ウォーズほど性急でもなく、歴史を大幅に変えているというところはあるが、物語的にもつじつまの合わないようなところはかなり少ない(相変わらず原子力の描写に稚拙なところがあるのはハリウッドのお決まりではあるが)。また、主役二人が友情を培うところが良く出来ていて、評価4.5をつけてもよいぐらいだが、他のミュータント自身や成長の部分が若干弱いため、4.5に近い4という評価にする。
本シリーズは、傑作「ユージュアル・サスペクツ」のブライアン・シンガーが育て、本作では「キック・アス」で大ブレイクした監督を起用するという、作り手側もしっかりとただ売れる映画を製作しているだけではないことで成功していると思われる。本作から始まる1900年代後半のシリーズもあと2作作る予定みたいなので楽しみだ。