「ノー・マンズ・ランド」01年仏・伊・ベルギー・英・スロヴェニア 評価3.5 メジャー度2

監督:ダニス・タノヴィッチ
出演:ブランコ・ジュリッチ、フィリプ・ショヴァゴヴィッチ、レネ・ビトラヤツ他

 ボスニア軍前線に赴いた交代要員は、霧深い夜、セルビア軍の目前に迷い込み、夜明けとともにセルビア側に発見され一斉射撃を受ける。そのうちの2人、チキとツェラは両軍中間にある無人の塹壕付近まで逃げるものの戦車砲で吹き飛ばされる。チキは塹壕の中で意識を取り戻し、銃を拾って帰り道を探すが、そこへ2人のセルビア兵がやってきて、気を失って動かないツェラを死体と勘違いし、その下に、動かしたら爆発する地雷を仕掛ける。

 1992年から1995年まで続いたボスニア紛争における上記の状況に、中立の立場である国連防護軍、スクープを狙うマスコミを絡めて、戦争の無意味さ、滑稽さを描いた、アカデミー外国語映画賞受賞作品。狭い空間でのやりとりや、登場人物を絞った中での緊迫感あるストーリはとても良く出来ているが、一度は打ち解けあう空気を感じさせるボスニア兵とセルビア兵が結局は殺しあったり、上層部の意向で正義の行動を取れない国連軍など、脱力感が全編を通して感じられるため、地雷の上で意識を取り戻したツェラのラストも読めてしまうことは映画としては減点だろう。

 最近、評価4.5以上をつけられる映画が少なくなっている。これは単純に自分自身の感性が鈍感になったということもあるにはあるだろうが、それだけでは決してなく、1990年代以降、シリアス系の映画は現代社会の問題点をありのまま描くことが多く、確かにそれはそれで真実性はあるのだが、精神的に何かを訴えかけることが少なくなっていることが原因ではないかと感じている。本作も映画としては良いできだが、何か自分自身を向上させたり、深く人生を考えさせたりする内容ではなく、繰り返し観たいと感じさせないため、なかなか4.5以上にはならない。