「ギルバート・グレイプ」 93年米 評価4(5点満点) メジャー度3
監督:ラッセ・ハルストレム
出演:ジョニー・デップ,レオナルド・デカプリオ,ジュリエット・ルイス他
アメリカのある田舎町に住むギルバート・グレイプは母,姉,弟,妹と一緒に暮らしている。ある日旅行者の娘(ジュリエット)と知り合いになるが,旦那が首吊り自殺して以来精神を病み,デブり過ぎてろくに動けない母と知恵遅れの弟(レオ)のため,その町に住み続けるしかなかった。ところが母が急に心臓発作で亡くなって…
上記の出演者のほかにも妹役の女優とかかなり配役が豪華だが,精神的病人を2人抱えているため,田舎町に住ま続けざるをえない若者を等身大に描いた佳作である。別に家を飛び出したいというわけでもなく,他の世界にどんなものがあるかも知ろうとしない諦めの境地に近いものがあるのだが,といって人生に悲観しているわけでもないのは,出演者(セリフのある登場人物)がみんな善人だからであろうか。特別のものがなくても,懸命に,悪いことをしないで生きていくことの中に幸せはあるのだということをふっと気づかしてくれる心憎い映画である。
監督は全く聞いたこともない人だが,2枚目のジョニー・デップに十分善人なのに「いい人になりたい」と言う朴直な主人公を何のいやみもなく演じさせ,デカプリオにはまだブレイク前だったとはいえ知恵遅れを自然に演じさせ,「ケープ・フィアー」や「ナチュラル・ボーン・キラーズ」など,えてして突飛な役柄が多くなりがちなジュリエット・ルイスも,ちょっと変わっているが,純粋な娘(とっても魅力的だ!)としてよく演出しており,いい仕事をしている。