「キング・オブ・コメディ」 83年米  評価3.5(5点満点) メジャー度2

監督:マーチン・スコセッシ
出演:ロバート・デ・ニーロ,ジェリー・ハリス他

 スコセッシ&デ・ニーロコンビといえば,「タクシー・ドライバー」「レイジング・ブル」「グッド・フェローズ」等々名作が数多いが,この映画はちょっと毛色の変ったライトコメディに仕上がっている。

 コメディ界の大御所ジェリー(ジェリー)に憧れ(ほとんどストーカー),コメディアンになりたがっている男(デニーロ)が,同じストーカー仲間の女と共謀してジェリーを誘拐し,釈放の条件としてジェリーの持つコメディ番組への出演を要求する。

 デニーロがストーカーらしき者を演じる映画としては,同じスコセッシの「ケープ・フィアー」とか最近の「ザ・ファン」があるが,ここでは暴力的な恐ろしさはないものの,本当にいそうな,変わり者だがある一面切れる頭も持っているちょっと間抜けなストーカーを演じている。デニーロの喜劇というのは他に見たことがないが,さすがに達者に演じていて違和感はない。

 重い映画の多いスコセッシにしては肩の力の抜けた,楽しんで演出しているような雰囲気が感じられる。ラストのさらっと流したどんでん返しにも好感が持てる。ストーカーの女友達を演じた女優の切れた演技がとても楽しい。