「第9地区」 09米 評価2.5(5点満点) メジャー度2
監督:ニール・ブロムカンプ
出演:シャルト・コプリー、ヴァネッサ・ハイウッド、デヴィッド・ジェームズ他
南アフリカのヨハネスブルクに28年前に飛来した巨大宇宙船は、故障を発生し、上空で静止。中にいたのは知能が低く凶暴なエビのようなエイリアン。彼らはヨハネスブルクの区切られて完全に監視された「第9地区」に住むことになった。しかし、次第に増殖して第9地区では手狭になったため、政府は彼らを新たな地域に強制収容しようとした。そのミッションの隊長となったのは平凡な会社員ヴィガスだが、このミッションにはエイリアンが持っている超破壊兵器を手に入れるという側面もあった。
私は疲れてくると目の焦点がずれてくるという視覚的な弱さを持っているため、ドキュメンタリー調の揺れる映像が苦手である。また、前半は特に上から下から内部から体液大放出という展開なので、まず気分が悪くなった。まず、この映像的な特徴が、ストーリーとかと関係なく減点対象になる。
本作は特にマニア系の人の評価が高いようだが、私には理解しがたい。確かに差別対象となるのが知能の低いエイリアンというのは斬新な発想だが、ストーリー展開は良くあるアクション映画である。結局巨大組織に利用される形になった弱い主人公(ヴィガス)が、虐げられている子持ちで善玉的なもの(知能が高い指導者層のエイリアン)と協力し、ただ一人特殊能力を持つ(エイリアンのDNAを持たないと操れない超破壊兵器が使用可能になる)ことで超人的な力を手に入れ、善玉と“正当な”戦いをするものの、完全な勝利には結びつかない・・・はっきりいって、先が読めまくりの展開である。
なぜヴィガスが宇宙船の燃料が顔にかかっただけでエイリアンに変貌していくことになるのか、とんでもなく知能の低いエイリアンがどのような存在価値の元、宇宙船に乗っていたのか、武器をたくさん持って降りてきたのに武器の使い方を知らないなんて??という疑問たちは、エイリアンを題材とすることが、人類の理解を超えた何かがあるのだろうと、全く無視する理由にはなるので多めに見るとして、明らかに抜けているヴィガスになぜ妻があれほどぞっこんなのか、なぜ盗聴されていることはばればれの妻からの電話に延々と話続けるのかなど、人間界の物語に不備も多く、アイデアと勢いだけで突っ走った映画である。