「おくりびと」 08日 評価4(5点満点) メジャー度4
監督:滝田洋二郎
出演:本木雅弘、広末涼子、山崎努、余貴美子、吉行和子、笹野高史、杉本哲太他
オーケストラのチェロ演奏者である小林は1800万円のチェロを購入するものの、所属するオーケストラは不況の影響で解散。小林は自分の才能に向き合い、奏者を止め、実家のあった山形に戻ることとする。山形で就職を探し始め、ふと手にとったチラシにある会社に面接を受けに行くが、そこは死者を棺おけに収める納棺が仕事だった。
人間誰しも避けられない死というテーマを納棺という作業の中で描き出す、アカデミー外国語映画賞受賞作品。死に直面すると(本人だけでなく周囲の人も)、本性が出るとよく言われるが、納棺という作業を行う人の目から客観的に、いろいろなパターンを見せることで、死までの流れの様々な年代の中で人という生き物はどう生き、周りに影響を与えているのか、ということを考えさせる秀作である。山崎や余、吉永などの実力派の間を計ったような演技は言うに及ばず、本木も生真面目な青年を好演。
しかし、大きな減点材料は広末だ。いつものわざとらしい表情の変化、設定年齢30くらいなのに甘ったるい口調は、とても一般人を演じているとは思えず、広末が出てくるたびに、小林の妻という女性を演じている広末を感じさせ、浮いている。それなのにアップの表情が多いので辟易する。また、ラストの終わらせ方がいまいちピンとこない。父親のこれまでの人生や息子である自分への気持ちを集約するような終わり方ならよかったが、なぜ、妻のおなかの子供に意識が行くような終わらせ方なのか???
とてもよくできた映画だし、本来4.5という評価でもよいのだが、上述2点の減点で4まで評価は落ちる。