「インビクタス−負けざる者」 09米 評価4(5点満点) メジャー度3
監督:クリント・イーストウッド
出演:モーガン・フリーマン、マット・デイモン他
今もっとも信用のおける監督であるクリント・イーストウッドの最新作。盟友であるモーガン・フリーマン主演、クリントを尊敬するマット・デイモン助演ということで、外れはありえない。
南アフリカのアパルトヘイト政策に終止符を打った黒人大統領ネルソン・マンデラの、26年に及ぶ獄中生活を経て、大統領になってから、白人に人気のあったラグビーを通して国としての一体感を醸成していった過程を描く、実話物語。イーストウッドらしい、片意地の張らない、それでいて映画のつぼを押さえた作り。フリーマンはもともとマンデラの伝記をやりたかっただけあって、背は高すぎるもののはまり役。デイモンは既に超一流スターでありながら、クリントを信頼して脇役に徹し、あくが抜けた演技を見せる。
話的には、史実であり結果がわかっているため、ドキドキ感がないものの、この安心感が返って歳をとって刺激的過ぎるものを好まなくなってきた私にとっては心地よい。逆にそれを求める人には物足りないだろう。
まぁ本作は史実であるがため、マンデラが暗殺されるかどうか、ラグビーワールドカップで南アフリカが優勝できるかどうかの緊迫感がどうしても緩みがちになってしまうのはしょうがないだろう。本作の主題は、名著「七つの習慣」でも取り上げられていた「私は、いつでも私の魂の指揮官」という詩の一節を胸に獄中生活から帰還し、国を一つに纏め上げたマンデラの気高い意思の力を描くことにあるのだと思う。