「アメリカン・ギャングスター」 07米 評価3.5(5点満点) メジャー度3
監督:リドリー・スコット
出演:デンゼル・ワシントン、ラッセル・クロウ、キウェテル・イジョフォー、キューバ・グッディング・Jr他
1970年代のニューヨーク。市民に愛された黒人ギャングのボスが死に、長年彼の運転手を務めてきたフランクがその後を継ぐ。しかし彼は昔のやり方ではなく、麻薬を現地から直接仕入れ、他のどれよりも高純度、安価で売りさばくことで徐々に暗黒街のビジネスを牛耳っていく。一方ニュージャージーの刑事リッチーは決して買収を受けないものだけを集め、麻薬捜査班の責任者としてフランクを追い詰めていく。
デンゼル・ワシントン、ラッセル・クロウというアカデミー賞受賞俳優の起用、巨匠リドリー・スコット監督で、最近にしては珍しい2時間37分という長尺でありながら、スピーディかつ重厚な展開で飽きさせることはない。
しかし、成り上がりギャングの家庭、内面的な苦悩、ファミリーの絆とそこへ与える影響、正義感の強い刑事の、同志との連携や私生活描写を断片的に散在させた結果、焦点の定まらない印象を受ける。善、悪両方の描写を均等に入れたため、どちらに感情移入することも難しい。ギャングを主に観せるのなら『ゴッド・ファーザー』シリーズや『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』には及ばないし、正義感の強い刑事を描くのなら『セルピコ』や『アンタッチャブル』に及ばない。
決して悪い映画ではないのだが、“なかなか面白い”という域を出ないというのが本音である。