「フラガール」 06日 評価4(5点満点) メジャー度5
監督:李相日
出演:松雪泰子、豊川悦司、蒼井優、山崎静代、岸部一徳、富司純子、徳永えり他
昭和40年。炭鉱の町福島県常陸にも石油の時代の到来により閉山の波が押し寄せていた。そこで、若い女性達によるフラダンスを目玉にしたハワイアン・センターを作って町おこしをしようという企画が持ち上がる。ダンスに取り組む若い娘たちと東京から来たダンスの先生の成長物語を軸に、炭鉱夫たちの反対と白い目に耐えながら、時代を生き抜くための街の変貌を描く。
良くありがちなスポコンものの典型的な展開と、真ストレートな台詞の数々は、見ているうちに厭味を感じさせる危険をはらむものだが、本作品はぎりぎりのところでその瀬戸際の綱渡りを成功させた。
その要因は、役者たちに実力派を配したことと、配役の妙が第一に挙げられよう。決して女優という世界では整った顔つきではないが、長らく人気女優でいる蒼井優は、決してお涙頂戴役に陥ることなく、魅力的なオーラを放ちながら主人公を演じているし、薄幸な顔つきの松雪は落ちぶれた元ダンサーの先生役にぴったり。珍しい汚れ役が何気に違和感のない冨司純子など、時代の波に流されない実力派を配したことが成功している。あと、容易な恋愛関係を交えたり、あからさまな悪役の登場による善悪の色分けをしたりせず、一本太い軸としてハワイアンダンスの魅力をぶれない配置としたことで、余計な部分に集中が分散することがなく、よく出来たスポコンもの、家族ドラマに仕上がったと評価できる。