「姿三四郎」 43日 評価3(5点満点) メジャー度2

監督:黒澤明
出演:藤田進、月形龍之介、大河内伝次郎、轟夕起子、志村喬他

 明治15年。ある柔術の門下生として弟子入りした姿三四郎(藤田)は、その夜に新しい武道である柔道の師匠、矢野(大河内)に対する闇討ちに同行することになる。しかし柔術家たちはコテンパンにやられ、三四郎はその場で矢野に弟子入りする。たちまちのうちに強くなった三四郎は、矢野から柔の道の指導も受け、人間的にも成長していく。

 黒澤明の監督デビュー作である。が、当時の電力節約による80分以下規制により、20分ほどカットされており、若干正当な評価と言えないところもある。しかし、どうしても気になってしまうのが格闘シーン。名人同士の柔道の試合でありながら、5,6メートル投げ飛ばされる、投げ飛ばされて壁に当たって即死、足腰が立たなくなるといった描写はいくらなんでもやりすぎ。昔の映像的な情報量がほとんどない時代ならともかく、オリンピックでも何でもテレビで世界最高峰の試合を見れる現代ではどう考えても”おかしい”演出となってしまう。

 しかし、素晴らしい映像、自然描写、独特のカット切など、黒澤の今後を感じさせるものが随所にあり、それはそれで素晴らしいのは事実。また無骨な藤田進がぴったり姿三四郎にはまっているのだが、まぁ、上記したことからどうしても物語に入れなかったから、この評価もしょうがない。